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屋久島の海で生きる者たち

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2010年 06月 15日

子を守るバイオレットボクサーシュリンプ

屋久島では珍しいバイオレットボクサーシュリンプが今、ペアーになっている。おそらくオスとメスだろうと思う。頭胸甲の深い紫が悪そうな不気味さをかもし出していてかっこいい。日本語に訳すと「破壊ボクサーのごときエビ」!素晴らしい響きです。

今日は2匹が比較的離れた場所にいたので、手前にいる個体を観察していると、居心地が悪くなってきたのか腹を見せながら岩の切れ目に後すざりいていった。そして、奥にいた個体が僕の目の前にハサミを大きく広げながら前進してきた。この個体は僕の前から移動することはなく、ずっとこっちに注意を向けているようだった。 よくよく後すざりしていった個体を見てみると、腹には青の混じった純白の卵がぎっしりとつまっていた。


僕を敵と思ったのだろうか。メスは安全な場所に後退し、オスはメスを守るためか・・・前進してきた。この入れ替わり行動は、もしかすると我が子を守る夫婦の連携プレーだったのかな。だとしたら、オスは何て勇敢なのだろう。自分の体の何万倍もある巨大ヒゲ人間に立ち向かってくるとは・・・ 僕の前でハサミをカシャカシャしているオスが何とも勇敢でたくましく映った。

そして、屋久島では希少なバイオレットボクサーシュリンプが、いったいどうやってこの広大な海で相手を見つけたのだろう。そして、どんなプロポーズをして夫婦になったのだろう。そんなことを想像していると、彼らのたくましさはよりいっそう僕の中では巨大になっていき、いつの間にか彼らの気迫に飲み込まれているチッポケな自分がいた。

子を守るバイオレットボクサーシュリンプ_d0198511_22564923.jpg

今、屋久島では稀なパンダダルマハゼやオスの腹で卵を守るオイランヨウジたちもまた、梅雨の今、夫婦寄り添いながら卵を懸命に守っている。

by shunzo_seaphoto | 2010-06-15 22:47 | 海老(えび)


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